ISBN:978-4762830259 学習科学ハンドブック
「メタ認知がなぜ適切 に働かないのか」 といった疑問を考える上で, 認知資源の限界という情報処理的な(冷たい) 側面からの検討だけではなく,「自分の認知処理は妥当なものと考えたい。 極力変 えたくない」 と考える自己保身的なバイアスについても考慮する必要があることを示唆していると考えられる (とはいえ, 本章ではメタ認知に対する他者の影響は社会的比較 という観点で少し触れられている程度なので, その点は物足りなく感じられる)。
徐々に手続きが習得されていくにつれ,それらは自動化(automatized)される。 すなわち,行動の系列が内化され, 識的注意やコントロー ルを必要とせずに実行されるようになる。
5.動機づけとメタ認知は複雑な形で密接に関連している。 この関係を理解することは効果的 な学習環境をデザインする上で必要不可欠で ある 。
最初の3 つの手法 (モデリング, コーチング, 足場かけ)は,伝統的な徒弟制の核となるものである。